日本の公的年金制度と私的年金制度(確定拠出等)の改正法案が5月29日成立しました。
日本の高齢期の長期化を見据えて、公的年金の持続可能性を高める狙いです。
公的年金が改正されることで、連動し確定拠出年金等の私的年金も大きく変わります。
主な改正内容と施行時期をまとめてみました。(重要法律施行は概ね2年後からとなります。)
◆2022年4月から
◎公的年金の「繰下げ受給」の上限を75歳に延長(現在は70歳まで)
◎企業型確定拠出年金(企業型DC)とiDeCo(個人型DC)の受給開始時期の上限を75歳に引き上げ(現在は70歳まで)
◎65歳未満の「在職老齢年金」※の減額・支給停止基準を、月額28万円から47万円(65歳以上と同額)に緩和
◎65歳以降も厚生年金に継続加入する場合、在職中でも1年ごとに年金が増える「在職定時改定」を導入
※在職老齢年金 = 一定の所得を越えると年金が減額または支給停止となる制度
◆2022年5月から
◎iDeCo(個人型DC)の加入上限を60歳未満から65歳未満に引き上げ
◎企業型DCの加入上限を65歳未満から70歳未満に引き上げ
◎確定拠出年金の新規加入は60歳未満しかできなかったが、60歳以降も新規加入できるように
◆2022年10月から
◎企業型DC導入企業の加入者もiDeCo(個人型DC))の併用加入が容易に(現在は会社の規約変更が必要)
◎企業型DC導入企業でマッチング拠出も導入している場合、iDeCo(個人型DC))との選択も可能に。
◎従業員「100人超」の会社で短時間労働者(一定の要件を満たすパート・アルバイトの方など)を厚生年金加入対象に
この中でも多くの方に関係するのが、受給開始時期の選択肢の拡大だと思います。
高齢期が長期化する中で、『公的年金の受け取りをいつからにするのか?』
その公的年金の受取時期を判断する前提として、二つ重要な要素があります。
①『いつまで働くのか?』
②『リタイアした時に金融資産をどれだけ準備するのか?』
特に金融資産は公的年金を受け取るまでの老後収入の『中継ぎ』と
捉えて計画的に準備できれば、終身年金である公的年金を繰り下げて
受給金額を増やすことができます。
これまで公的年金を繰り下げる(受け取りを先延ばしする)人は少なかったですが、
今回の年金法の改正を機に『年金の繰り下げどうする?』とか
『いつまで働く?』という話題が増えていきそうですね。